さて、続きです。
クラシックギターは19世紀に現代に通じる基礎が
できました。
それは木組みによる音量の増加や丸いサウンドホール
単弦の6コースなどの特徴を持っていました。
フォークギター(昔はウェスタンギターという言い方も一般的でした)は
諸説ありますがドイツ人のC.F.マーティンがウィーンでギターの製作を学んだのち
アメリカに渡りバンジョーの弦を張れるようにギターを作り変えていって
生まれたということらしいです。
そこから話を掘り下げますと
バンジョーはカントリーでよく使われていますが
もともとはアメリカに連れてこられた黒人達が
アフリカのいくつかの楽器の特徴を集めて
生み出した楽器です。
ですから古いジャズではバンジョーが使われています。
さてクラシックギターに金属弦を張れるように改良して
フォークギターが生まれとありましたが金属弦はいつから使われていたのでしょうか?
例えば金属弦を張った楽器に16世紀に出来たツィター(チター)というものがあります。
ギターでも良く弾かれる曲「第三の男」はもともとツィター奏者のアントン・カラスの作品です。
金属弦でギターのようなフレットも見られますね。
この楽器のルーツは中世の楽器ダルシマーともいわれています。
ダルシマーはバチで叩く弦楽器で中近東から11世紀ごろにヨーロッパに広まり
チェンバロ(後のピアノ)の元になったとされる楽器です。
似た楽器にイランのサントゥールがありますね。
そうすると金属弦はその頃には存在していたということになります。
チェンバロは15世紀頃に普及しだしています。
ヨーロッパでは12世紀ごろから金属弦(鉄弦・鋼合金)が使われ始めて
14世紀ごろに製法が確立されてきたようです。
ナイロン弦やピアノ線が発明される以前の弦は
・植物のつる
・ガット弦(羊などの腸をよったもの)
・金属弦(鉄・鋼)
が一般的だったようです。
今まで見てきましたように西洋(ヨーロッパ)楽器では
ガット弦・金属弦が主流であり
どちらも長い年月使われてたことが確認できます。
アメリカでは環境的に手に入りやすい金属弦(含む針金)
が主流となり楽器が作られていったようです。
最初の方でC.F.マーティンがフォークギターを作ったと書きましたが
恐らくアメリカでは身近なものに金属弦を張った楽器は多数自作されて
いたと思います。
アメリカらしい発想の楽器としましては
シガーボックス・ギターがあります。
葉巻の箱に棹をつけたギターで19世紀には作られていたようです。
ちなみに今も愛好家が多いようで自作されている方も多いようです。
子どもの頃にティッシュの箱等で弦楽器を作った人も多いはず、そんな発想ですね。
ギターではありませんがWashtub Bassという
タライと箒の柄でつくるベースも一般的に使われていました。
これでレコーディングされたBLUESも多くあります。
広大な土地の中で何でも手に入るわけではなかったので
あるもので似た楽器や面白い音が出せる楽器を生み出していったのだと思います。
金属製の洗濯板でドラムのようにリズムを刻むというのも一般的でした。
楽しい音楽、楽しい国ですね。
どんな時代・環境でもその中でクリエイティブな出来事は多く起こっています。
そういった事も歴史を知る面白さだと思います。
どんな状況でも人は音楽を奏でることが出来ます。
またそういった感性はその環境で楽器を生んでいくのです。
そうして出てきた二つのものが結びついていくことで新たに何かが生まれていきます。
こういった創造的な結婚があらゆる面で連綿と続いているのです。
それはずっと昔に人類が音楽を発見した時からです。
最後は映画「IT MIGHT GET LOUD」の冒頭のシーン。
こういうことを素晴らしく感じるのがアメリカンなセンスだと思います。
もう少し続きます。