教室の壁は一面黒板になっています。
最初の頃はよく大きな絵を描いていました。
段々と機材が増えてきてチョークの粉が
かかるようになった事と
気に入った色合いのチョークがなくなったので
最近は使わなくなっていました。
レッスン後次が開いていたので
のんびりしていたら小学生の子が
―最近、黒板に何も描かないね、
と言ってきた
―何を描けばいい?
―アジサイ
―他は?
―カタツムリ
描いたら
―じゃあこれで物語を作って
と言ってきた。
その場で物語を作っていったら
―カエルも出して
―カメも出して
とリクエストが増えていく。
何となく物語を考えてお話を語っていく。
そんな感じで過ごしていくうちに次の生徒が来る時間になった。
続きは来週ねとの事。
その後、数日間頭の中にカタツムリが住み着いた。
色々と動き出すので出してあげなきゃと
紙に新たな物語を書き出していった。
次の日にワープロで大体の形に仕上げた。
それを、どういう形にするのかはまだ未定。
―さてさて
一つの物語を作っていると
同時にいくつもの物語が生まれてくる。
カタツムリ→殻→身を隠す。
これだけで沢山の物語が生まれる。
「殻なんて壊しちゃえ」
「安全な殻に閉じこもってんじゃねぇ」
なんてセリフも聞こえてくる。
殻がなくなったらナメクジみたいだなと考える。
それは、果たして、カタツムリが進歩した姿なのかな??
殻があって、逃げ込む安全なところがあって
それが個性になっている。
それも悪くないなと思える。
何を思うのも、楽しむのも、嫌うのも私事で
その都度、その都度の自分の殻や安全と付き合っていけばいい。
きっと、それは不可分で必要としているものだ。
自分の速度で進もう。
ワープロで打ち出した文章を教室のカウンターに
置いておいて何人かの人に読んでもらった。
その方々の大半から
―どこかに行っちゃう話、好きですねと言われた。
僕が読まれてる。