夜の遅い時間、レッスンが終わってから食事をして
帰る途中、しっぽのフサフサした生き物が車道に居ました。
狸かなと思いながら車で近づいていくと
ぴょんぴょんと軽快に走っていきます。
そのまま距離は詰まっていき、車と並走状態になりました。
その生き物はキツネ(またはかなり見た目の近い生物)でした。
このあたりで見たのは初めてです。
やがてキツネは矢田川の茂みへと消えていきました。

―さてさて
世の中には多くの製品があります。
一度世に出た製品はバージョンアップをしてその価値を
時代に合わせていったり時に時代を切り開いていきます。
バージョンアップのために既存製品の
小さな部品をコツコツと組み替えたり、入れ替えたりしながら
その反映された結果をデータとして集めていきます。
様々な箇所でその作業を行っていきその総体が
ある時に進化したと認識できるレベルに到達します。

私たちも学習や経験を通して進化を感じていきます。
新しいものに触れたり新しい事を覚えていくと
どんどん扉が開いていき自分が成長しているという
実感を強く感じます。

新しい物事という外側の変化を求める成長とは逆に
自分の変化を楽しむという内向きの成長もあります。
これは先の製品のバージョンアップに似ているかもしれません。
コツコツと自分の中の可能性を試していきます。
そういった自分が起こす振る舞いや動作が外の世界に
どのような現われを起こすかを味わっていく成長です。
小さな変化の蓄積がやがてバージョンアップになっていきます。
今どきの言い方だと「〇〇2.0」みたいな感じですね。
自己という枠組みや概念が内的に変化していき
社会の中で担う役割や存在意義も変わってきます。

小さな変化の集積ですので成長の実感は得にくいかもしれません。
そういう変化は同じような出来事の繰り返しの中で
ふとした時に感じられることが多いです。
久しぶりに弾く曲や数年ぶりに読み返した本が
その間の自分の成長を映してくれるように
既に知っていると思っていたものを通して気づかせてくれます。
そういった変化が実は簡単ではないとても大きな変化なのです。

その結果、
―そんな過程を経た私に何を起こせるか?
―私にそんなことできるなんて思ってもみなかった!!
というようになっていけると思います。
自分の中にあるのにまだ使っていない可能性と出会うことは
思いがけずに出会うキツネぐらいテンションが上がります。

この街で出会うキツネは私にとって
想定外・想像外の生物でした。
同じように自分の中にも想像外の自分は存在しています。
それらの断片である構成部品を検証していきましょう。