今年は皆様色々な面で望むように出来ない事というのが
多くあったのではと思います。
様々な状況や境遇は各々ありますがどんな時も選択する自由は
自分にあります。
大胆な選択もありますが、現状の中で取りうる
小さな選択を積み重ねていく事によって
滑らかに少しづつズレて変化していく事もできます。
自分の中にある様々な声を大切にしてください。

―さてさて
今月は月末の金曜日を休みに設定しました。
ついつい人からの用事を入れてしまうので
その日だけはそういう予定はなるべく入れないようにして
自分がやりたいことを何かやる日にすることにしました。

そこで2週間ほど前にとりあえずやったことがないボルダリングを
やってみようと決めました。

正直、ボルダリングとは出っ張りに手足をかけ壁を登る
スポーツであるぐらいしか知識が無いのですがあまり
下調べをしないようにして
でも一応、服装や必要なものぐらいは下調べをして
その日まで過ごしていきました。

そうすると出てくる出てくる
やらなくていい理由というものが……
・爪を切ると演奏に支障が出るとか
・指や手を痛めたら支障が出るとか
・別にそんなことしなくていいじゃんとか
・たまの休みに疲れてどうするとか
・天気がどうとか、気温がどうとか
・片付けがあるだろうとか
・草むしりしなきゃとか
・練習時間にあてた方が良いのではないかとか

当日までずっと、やらなくていい理由が山のように湧き上がってきます。
どうしようかな、どうしようかな、心は揺れ続けます。
こういうのって面白いなぁと思います。
やらない理由は山ほどあって
やる理由はやってみたいだけ
だからやらない理由にどんどん気持ちが持っていかれます。
自分が自分を説得しにきます。

自分でやりたいと思って
やらない理由を自分で見つけてきて
自分が説得させられてしまう。

そんな自分を観察したくて2週間前にたてた予定です。
その間ずっとそんな説得する自分を観察しながら
過ごしてきました。
そしてそんな声を聞きながら無視していってきました。

初心者ルートをいくつか3,4メートルほど登ったり
飛び降りたり。
行って体験して良かったです。
その夜から腕も指もパンパン。
次の日レッスンしていて筋肉痛は問題なかったですが
やはり右手の爪はある程度伸びて無いと弾きづらいなぁというのは実感。

話は変わりますがレッスンに来ている方で
新しい内容をやりだすとグズグズしだす人がいます。
とりあえず5分ぐらいずっと
「絶対無理~」とかいいながら身悶え揺れてます。


で5分ぐらいひとしきりの身悶えが終わって弾きだすと
落ち着いた良い顔で練習しだします。
その間どれだけの会話だったり抵抗するエネルギーがその方の
中を巡っていたかと感じてみると面白いです。
それは本人も分かっている一通りの儀式。
それが終わって心が決まってしばらくやっていると
新しい内容はちゃんと出来るようになっていきます。


新しい事、不慣れとしている事に向かおうとすると
自分の中から出てくる防衛反応。

それも私たちに備わった大切な機能の一つです。

そんな機能の働きを存分に観察しながら
無視してみるのも選択可能な行為です。

最初にやってみたいといった自分の小さな声
説得力のある理論で武装が出来ない小さな衝動そのものを
自己防衛機能から守って行為として実現させてあげることは
大切なことです。

多くの自分が自分の中に存在してそれぞれの役割の中で
主張しています。
その声を大切に拾い上げて行動にしていくのが良いと思います。
欲求や衝動に任せて目をつぶって飛び出すのが特別良いわけではありません。
大切なのは自らの内にある様々な声を聞き選択していくというプロセスを
自分が選べるという事です。

私が教室を運営していく中で誰かがやってみたいと
いった事はなるべく形にしていきたいと思っています。
私だけでなく他者に対してそういう気持ちを持ち行動できる方は
多くいらっしゃいます。
そういった傾向の方はついつい忘れがちですがそういった振る舞いは
自分に対しても必要な事だという事です。

自分の衝動を見つめ
自分の防衛機能をみつめて
いつも選択の自由を持っている事を大切にしてください。
それを行動に移す力も使わないと鈍ってきます。

身もだえ、逡巡するのもいいと思います。
ゆらゆら揺れているうちにポンと進めるときがきっと来ます。
そんなタイミングを上手く捕まえて大切にしてください。

やる理由はやりたいからだけで充分です。