エレガットの事をさほど考えたことが無かった事に
気がついたので色々と調べてみようと
レッスン前に半日かけて楽器店を回り試奏やお話を伺ってきました。
結構長文になります。
自分の備忘録として一気に書きましたので内容は読みにくいのではと思います。
少しずつ加筆、再編集すると思います。(最終更新2021/6/3/23:14)
●まずは初心者やこれから始める方の為に前知識を書きます。
アコースティックギターにはスチール(金属)弦とガット(ナイロン)弦の
2種類があります。
スチール弦が張られているものが一般的にアコギやフォークギターと
呼ばれているものです
ガット(ナイロン)弦が張られているものはクラシック・ギターやフラメンコ・ギター
と呼ばれています。
アコギ、フォーク・ギターとクラシック・ギター、フラメンコ・ギターは
それぞれ基本設計・構造や材質などが違います。
ただ張られている弦の違いだけではありませんがここでは
割愛します。
アコギ、フォーク・ギターにピックアップやマイクを内蔵して
アンプから音を出せるようにしたものが「エレアコ」です。
ガット弦が張られているものにピックアップやマイクを内蔵してエレキ化したものが
エレガットになります。
●さてさて本題です。
私がエレガットを使用するために購入すると(仮定)した設定で
各楽器に触れてみました。
価格帯は10万円~30万円程度。
小編成のギターアンサンブルやドラムがいるバンド編成程度で使用をイメージ。
楽器や音色が促してくれるSOMETHINGも大切。
まずエレガットを大別すると2種類になります。
1.クラシック・ギター、フラメンコ・ギターにマイクを付けたもの。
2.エレガットという新しい楽器を作ろうとしているもの。
■まず1の方ですが
・伝統的なものの他にカッタウェイがあるものも含みます。
・基本的に伝統的な形で多少胴やナット幅、スケールが違うものも含みます
ポジション感覚も従来のままで生音もしっかりしていて
且つエレアコとしての機能も持たせたい。
普段はアコースティックで使っていて、ステージや
録音などで補助的にエレアコの機能も使いたい時に
向いていると思います。
ボディーは厚さがあるのでハウリングには強くないです。
いくつか試奏した感じは弦高は標準的な高さ(4mm少々)のものが多くて
生音はしっかりしています。
エレアコ用のアンプにつないだ感じだと生音と
アンプからの音の音色の違いが気になりました。
音色や音量などの変化も生音とピックアップで拾った音には
反応に違いがありますのでどちらを主体にコントロールしていくかが
難しく感じました。
近くで鳴る生音が大きく聴こえるのもしょうがないです。
ある程度生音を重視できる環境で補助的に
アンプを入れたり、マイクで拾った音とラインの音をミックスして
使うことを想定するならいいと思いました。
■次に2のほうですが
まずはアコギのガット弦バージョンとしてのエレガット。
エレキやアコギの人が持ち替えたときに弾きやすいように
設計されています。
ナットは標準的なクラシックギターは52mmですが
48mm程度に細くなっています。(アコギは42~45mm程度)
弦高は4mmを切っているものが多いようです。
弦高が低いとフレットのビリつきが出ます。
これは様々なメーカーを試しましたが大なり小なり避けられない
要素のようです。
ただ大なり小なりの部分で各社各製品に工夫をされているのを感じました。
ビビリ音はG音の周りに多く出ていることが多いですが
その倍音のB、D音の他にGを倍音に含むC音やその周辺にも発生していました。
その音量は機種ごとに様々です。
3mm台の弦高のギターでビリつきが無い機種は無かったのでどこまでを
許容するかは奏者の判断になるかと思います。
試奏では生音と混ざるのできちんと確認できませんでしたが
ヘッドホンで確認したときにアンプからの出音にもビリつき音が乗るものもあるようです。
低い弦高によるビリつきを減らすにはテンションの高い弦を張ることで
多少は改善するようです。
製品の工夫としましてはネックのスケールを長くしてテンションを稼いでいる
メーカーもありました。
逆に短めのスケール、低い弦高だとより出やすくなるようです。
私的にはビリつき音は音色と分離して純粋にノイズに聴こえますので
歓迎したくない要素です。
上手く音色に混ぜて邦楽で言う「さわり」のように使えないかな
と思いましたが、なかなか手ごわそうです。
低い弦高による弾きやすさを優先するか音色を優先するか?
を考えると私はクラシックギターの弦の高さになれていますので
少し弦高が高くても音色の成分を色々と楽しめる個体を選んでいくと思います。
ナットの幅が狭いと弦高をあげたときにナット幅が広いものより
弾きにくくなるかもしれません。
伝統的なガットギターが今のナット幅、弦高になった理由もよく分かりました
■胴の厚さは薄いものも多くありました。
共鳴部分の容積が減るとハウリングが起きにくくなります。
抱えた感じはエレキギターに近いのでピック弾きも
楽かもしれません。
生音でもある程度の音量はしますが
量感や低音のふくよかさはありません。
アンプにつないだときは生音が小さい分ピックアップの
音がしっかり聴こえます。
ピックアップの音がコントロールしやすいので生音が
重要視されない環境だと扱いやすいだろうと思います。
演奏中に耳をどこに向けるかを考えると要素がシンプルで楽です。
薄胴の分ピッキングのアタックが強めに出ますので
その辺りの丁寧さは必要ですが音圧感は出しやすいかと思いました。
クラシック・ギターのエレキ化としてでなくガットの音がする
楽器として使い勝手を選ぶのなら薄胴で4mm程度の弦高のものでも
いいかなと思いました。
ボディーの薄さは思ったほど気になりませんでした。
むしろ伝統的な大きさと違うほうが感覚が切り替わって
良いかもと思いました。
ジョイントも12フレットでなくても問題ありませんでした。
実際使うときは生音に少し足すという方向性ではありませんので
よりアンプのセッティングやPAに送るための環境もトータルで考えた
音作りを考えていかなくてはならないなと思いました。
■当初は生音に近いものが良いだろうと思っていましたが
先に書きましたように生音とアンプからの出音のバランスが
気になりましたのでエレガットはエレガットとしての良さを追求して
生音を楽しむのはアコースティック楽器としての
クラシックギターを選んだほうが良さそうだというのが
今の環境の私が購入すると設定した場合の感想です。
環境や状況が変われば選択は変わるかもしれません。
国内大手メーカのフラッグシップモデルは独自のピックアップシステムの
音色と生音が似た音となっており面白かったです。
生音が特徴的で少しマットな感じでまろやかな音色でした。
クラシックギターも作っているメーカですので伝統的なノウハウを
持った上であえてそのような音色にしていることが興味深かったです。
好みはさておき設計に意図と意思を感じさせてくれるのがいいですね。
その辺の思い切りのよさをメーカーが持つことはスペック以上に大切だと思います。
■気付いた点の一つが価格帯の話です。
お店では数万円~10数万円位のモデルが多く展示されていました。
多くのメーカが20万円台でフラッグシップ・モデル
を出していました。
一部メーカが最高級で40万円ほどの価格帯です。
どちらかというと伝統的なクラシックタイプの物が多かったと思います。
それ以上の価格帯の楽器をエレガット化してもニーズも
メリットも無いのかも知れません。
ソリッドなエレキギターが50~100万円以上の価格帯でも
多種多様な製品があることと合わせて考えても興味深いですね。
また生のアコギとエレアコ以上に使い勝手や反応の違いが
あることが今回分かりました。
■弦高に関しては弾きやすさと音質面で改善の余地は
大いにありそうだと思います。
私は以前コントラバスを弾いていたのですが季節によって
駒を変えたりしていました。
またアジャスター付の駒という手もありました。
エレガットも最初から複数の高さ違いの駒を使う前提とする
という考えがあってもいいかもしれませんし
今回はちょっとしたことからエレガットについて
考える機会を得ました。
色々と質問をさせていただいた皆様、
試奏させてくださったお店の方々ありがとうございました。
もう少し調べて考察、検討していきます。